何度か外れていた、段沙児(上が臼)の『謎の二重体』昭和22年6月、泰山堂、を入手。
推理小説、と表記されていますが、探偵小説とは表記されていません。
最初は、雄鶏社の推理小説叢書、という叢書が思い出されますが、このあたりの移り変わり(探偵小説から推理小説)の時期はすでに確定しているのでしょうか。
雑誌「ロック」には、昭和22年3月、同じ著者名で、「二本の調味料」が掲載されています。
同一人物でしょうか、気にかかります。
先週の阿佐ヶ谷に引き続き、高円寺に行ってきました。
今回この駅で降りたのは初めて。他の東京の町が線的に発展しているのに対して、面的にスクロールした迷宮のような町で行き当りばったりに古書店を探すには、特に今のような暑い時期はきついところがありますが、3時間あまりで10軒以上見つかりました。その割には品揃え的にはブックオフの域を出ないところがほとんどでした。
かろうじて、駅前で最初に入った球陽堂で別冊新評「山田風太郎の世界」(1、800円」、梶龍雄「毛皮コートの死体」(150円)と、南口で買ったサンリオSF文庫のアンナ・カヴァン「氷」(3千円)くらい。
北口の竹岡書店はかなり広い店舗が路地の両側に2軒あるものの、まさに店頭の路上を含めて、古本がぶちまけてある感じ。店内も通路上まで乱雑に本の山が積み上げられたり、崩れていたりして、店の奥まではたどりつけない状態。ここから出物が見つかれば、文字通り「掘り出し物」です。もっとも、熱さでそこまでの体力は残っていませんでした。店主もラリった感じでした。
貸本屋「大竹文庫」は、ネオ書店等と比べるとシステム的にしっかりしており、文庫は少ないものの、特に新刊ミステリや講談社ノベルズなども充実しており、芦辺先生のような売れ筋も押さえているなど、地元の方なら、新刊ミステリについてはここでほとんど用が足りるのではないかという感じでした。
江戸川乱歩他、作家の人形などを撮影しております。
先ほどリンクさせていただきました。
よろしくお願いいたします。
岩堀さん、その復刻版『貼雑年譜』で気になるのは、限定200部の、番外であるということですね。
日本推理作家協会編『自選ショート・ミステリー』ミステリ傑作選・特別編5、が文庫オリジナルとして出ています。序がなくて、少し、これまでのものと比べて、さびしいような気がします。
そのなかでも、左右田謙さんの作品、「宝石」掲載作品をはじめに読みました。
角田実名義の作品が多いのに驚きますが、最近では、『能面呪文』昭和33、に遭遇しながら逸しています。
>中様
ありがとうございました。機を見て調べてみたいと思います(学生なもので時間がある)。
『大衆文学全集35』が昭和3年刊なので、それ以前の雑誌に掲載と言うのが一番ありうる話だと思う(まさか書下ろしはないだろうから)。
となると「新趣味」「探偵・映画」か・・・まさか「苦楽」「キング」はないだろうなあ。ミステリー文学資料館か世田谷文学館に行かないとわからなそうだ。
乱歩がデビューがたまたま同じだった利三郎を異様に意識していたというのには驚いた(『探偵小説四十年』)。そのときの「頭の悪い男」は未読だが、2、3読んだ印象ではローカルな松本泰みたいで、奇妙じゃない「奇妙な味」派みたいだ。
プロットをひっくり返すと探偵小説になるという考えだったようで、それでもまだ
ひねったプロットならいいが、この程度ではなあ・・・。名が残らないのも当然。川田功も似たようなものだが、利三郎よりは書けるのではないか。やはり乱歩の突然の登場はあまりに奇跡的な出来事であったという感を強くした次第です。
桜さま
光文社文庫の鮎川さん、連番の件といい、緑の艶出し・艶消しといい
すごい観察力ですね。わたしも、本格推理、〜マガジン、新本格推理
と一通りは本棚に並んでいるのですが、全く気付きませんでした。
ダブリ(はしない)主義など捨てて、続刊も買い揃えることにしましょう。
それと、「貼雑年譜」古書目録の件、大変嬉しい情報です。将来に希望を
つなげられます(ちと甘いかなあ〜)。
中さま
「真珠の小箱」私はビデオ取り損ねてしまって少し残念です。
DMでも書きましたが、カラオケ以前の本当に古き良き時代の宴会
風景ですね。会社の宴会で「蓄音機」と異名を取った私としては懐か
しくて涙が出てきますね。あの放映では市長さんが出ていましたが、
今「探偵小説四十年」を開いてみたら、旧藩主藤堂さんの踊りやら、
伊勢音頭やら賑やかに出たそうですね。乱歩もどんなに嬉しかった
ことか・・・。
清風亭での宴会、私も楽しみにしています。
末永さま
いつぞやの、斎藤栄「乱歩幻想譜」(光風社書店)の奥付の日付の
件、DMでのご教示有難うございました。あの後、手持ちの廣済堂
文庫(山風「妖異金瓶梅」「十三角関係」など)みたら、やはり
カバーに日付印刷でしたね。新刊で買ったものでそこあたりは
全く気にしていませんでした。いい勉強になりました。
「新刊展望」8,2001。
ここには、原書房 ミステリーリーグ、7月25日刊行開始、が告げられています。
国内本格ミステリを中心に新シリーズ。書き下ろし。
<第一回配本>として、柴田よしきさん、愛川晶さんの告知。
今後の執筆陣として、10月には、芦辺さんの予定。今年は、さらに、一冊出るのですね。
著者名に、ミスがありました。
満州日報、九州日報。やよいさん、残るは、島田さんの処女作ですね。
■芦辺拓様
『時間の檻』のご教示、ありがとうございました。「RAMPO Up-To-Date」の件、著書目録のデータ整理にかまけて更新をサボっていたのですが、本日アップロードいたしました。今後ともよろしくお願いします。
■岩堀様
昨日、制作会社から送っていただいたビデオが到着しましたので、お酒を飲みながら「真珠の小箱」を見直したのですが、清風亭の宴会シーンでは古き良き時代の宴席の情緒がしのばれ、じつに心温まるものを感じました。酔っ払いを見て心が温まるというのは稀有なことです。あの座敷でお酒をご一緒できる日を楽しみにしております。
■藤本様
お尋ねの件、中島河太郎先生の「日本探偵小説総目録」(『探偵小説年鑑1950年版』所収)で判明するかと思って調べてみたのですが、山下利三郎、川田功、角田喜久雄のいずれの項にも当該作品は記載されていませんでした。このリストに見当たらないとなると、あとは雲を掴むような話であるとしか申しあげようがありません。お役に立てなくて恐縮です。
■やよい様
「女妖」が「満州日報」に連載されていたことを、私はまったく存じませんでした。というか、それはたぶん「新発見」ではないか思われます。
乱歩と正史が合作したことになっている「女妖」は、松村喜雄さんが「本の雑誌」1989年4月号に発表した「乱歩・正史合作の謎の小説を推理する」でいわば幻の作品として紹介され、1997年10月に春陽文庫『覆面の佳人 或は「女妖」』として刊行されました。たしか浜田知明さんの調査によって、「女妖」が「覆面の佳人」という題名で「北海タイムス」に連載されていたことが判明し、それが『覆面の佳人 或は「女妖」』というタイトルに反映されたのだと思います。
「覆面の佳人」はA・K・グリーン作品の翻訳という形になっていて、乱歩と正史は「訳補者」として名を連ねていました。実際には正史の単独執筆だったようです。
お知らせいただいたデータも含めて連載期間を列記すると、次のようになります。
覆面の佳人 「北海タイムス」 昭和4年5月21日−12月28日
女妖 「満州日報」 昭和5年1月28日−8月24日
女妖 「九州日報」 昭和5年2月1日−8月14日
「満州日報」と「九州日報」がどういう関係にあったのかが判然としないのですが(何らかの提携関係で結ばれていたように思われますが)、いずれにせよ連載開始の時点で作品は全篇仕上がっていたのですから、《輸送用に早めに原稿を貰っていた》ということはないと判断されます。
しかし、そんなことはともかくとして、「女妖」が「満州日報」にも連載されていたというのはひとつの発見であり、当方のデータベースもご教示に基づいて増補いたしますが、どこかにその旨をきちんと公表なさってはいかがでしょうか。むろんネット上でもいいと思います。なんでしたら当方のホームページに掲載させていただきます。なんだか押しつけがましくなってしまいましたが、ご一考いただければ幸甚です。
以上、じつは「本の雑誌」のコピーも『覆面の佳人 或は「女妖」』もなぜか見当たらず、『乱歩文献データブック』と『江戸川乱歩執筆年譜』だけに基づいて記しました。頼りない話で申し訳ありません。何かわかったらまたお知らせいたします。末筆ながら、「満州日報」ご調査の労に敬意と謝意を表する次第です。今後ともよろしくお願いいたします。
中さま
江戸川乱歩データベースでは「女妖」が昭和5年2月から九州日報で176回連載とありますが、満州日報に昭和5年1月28日から8月24日までの176回で掲載されています。
輸送用に早めに原稿を貰っていたのでしょうか。
七月、古書目録が多くきます。夏の休みの前は多いのですね。
このところ、一点狙いに徹していますが、丁寧に、残念でした、という葉書が来ますので、そうか、前回は当たりだったから、等と思います。
昨日は、眼が止まり、そこから動きませんでした。
復刻版『貼雑年譜』本体二冊、二重函
が古書目録に掲載されています。25万です。
・xxxxxより、xx邸にxx本として納品されたものの一部
ということです。x部はここに書きませんでした。
一部ということは、何冊かあるということですね。
須川さん、五冊出るようですが、さらに、鮎川哲也コレクションとしてでてほしいですね。改稿部分はわかりません。
岩堀さん、再版印刷された、ということで、続刊してほしいです。
鮎川さんは、北海道にうつられたため、蔵書は、やはり、あの資料館にあるのでしょうか、これは気になります。
>日下様
ありがとうございます。
単純な見落としでした。お手数をおかけしました。
>ALL
宇陀児以外の山下利三郎などは見直しましたが、やはり『新青年』『探偵趣味』掲載ではないようです。どなたか御存知の方ご一報お願いします。
日下です。
>藤本さま
>闇の中の顔 大下宇陀兒
>なば山荒し 大下宇陀兒
ありゃ、宇陀児の作品は、両方とも「新青年」のはずですが……。
「なば山荒らし」昭和二年四月号
「闇の中の顔」昭和二年九月〜三年一月号。
先ほどの書き込みの
>メールさせていただきました。
は当然「書き込み」の間違いです。申し訳ございません。
細かいようですが一応。
はじめまして。あまりに話題が濃いのでここなら・・・と思い書き込みさせていただきます。
先日『現代大衆文学全集35 新進作家集』(平凡社/1928年初版)を入手しまして、さっそく資料(とはいえ自宅にあるものですから大したものはないのですが)を当たって掲載作の初出を調べました。
予想通り大体が『新青年』『探偵趣味』掲載のものでした。ただし不明のものもいくつかありまして、みな様方で何かわかりましたらと思いメールさせていただきました。以下に初出不明作を挙げます。
虎狼の街 山下利三郎
復仇 川田功
闇の中の顔 大下宇陀兒
なば山荒し 大下宇陀兒
梅雨時の冒險 角田喜久雄
ちなみに宇陀児の2作は創元の『日本探偵小説全集3』年譜で昭和2年に発表されたものとわかりましたが、掲載誌が不明です。
当方、「『新青年』所載作品総目録」(『新青年傑作選5』)と光文社文庫の「幻の探偵雑誌」シリーズのリスト(とはいえ昭和3年までですから『探偵文藝』『探偵趣味』の2冊のみですが)を当たりました。
どなたか「その作品はここに載った」「戦前の短篇はこれで調べるといい」といったような情報をお持ちでしたら、ご教示いただけないでしょうか?
よろしくお願いします。
今日、仕事の帰り「ジャンピング・ジェニイ」を買おうと八重洲ブックセンター
に行ったのですが果たせず、目についた「黒岩涙香の研究と書誌」\5,500を
買っちゃいました。高いよ〜〜
「無惨」とか「三筋の」しか読んだことないのですが、涙香なんて面白いの
かしらん >小森センセー
同書には「明治期シャーロック・ホームズ翻訳集成」@50,000×3冊の広告が
・・・た、高い、高すぎる >藤元さん (T_T)
ところで光文社の鮎川は改稿と書いてありますが、どこがどう変わって
いるんでしょうかねえ?? まだためらっております(-_-;)
先刻書きこみの末尾、「思っていま。」となってました。すみません。
「思っています。」・・・です。下書きがすでに抜けてました。
中様
名張見物の詳細コースガイド誠に有り難うございます。乱歩にちなむお土産も
結構あるんですね。私も前から、名張に行くならば御地で一泊と思っていま
したが、「真珠の小箱」を見て、清風亭で宴会出来たらいいなあと思いまし
た。中さんご紹介のコース通りにやれたらどんなに素晴らしいことか…。
是非正夢にしたいですね。
芦辺様、桜様
光文社文庫の鮎川さん2冊、昨夜書店で手にとり、だいぶ迷ったのですが
買ってしまいました。「ひとそれを情死とよぶ」も「ペトロフ事件」も
持っているからですが(原則としてダブリは持たない主義)、芦辺さん、
二階堂さんのエッセイや山前さんの解説など落ちついて読みたいもので…。
お二人とも、鬼貫警部のすばらしさを非常に的確に述べておられる点、感服
いたしました。私も、昨年暮れの「プレMYSCON2」の「名探偵勝負」
という企画で、僭越にも鬼貫警部を推薦したりしたのですが、思い入れは
あってもうまくは表現出来なかったもどかしさを今も感じています。
MYSCONホームページ(URL;http://www.geocities.com/myscon/)
にそのあたりの事載っていますので、高覧いただければ大変光栄です。
プレMYSCON2 → 名探偵勝負 → 第2組で出てきます。
芦辺さんの、「…若いミステリファン諸氏…「アリバイ崩し」という
だけで拒否反応を示す人たちが多いのに驚かされます。…」には全く
同感です。ミステリ好きと称しながら時刻表は嫌いとはなんたる事か…と
憤慨(^o^)してもしょうがないんですけれども、そんな人には、まずは
鮎川さんの「碑文谷事件」あたりから読んで頂けばきっと好きになるの
では…と思っていま。
芦辺さん、
>『人それを情死と呼ぶ』『ペトロフ事件』は、早くも増刷がかかったようです
発売三日目にして、これはすばらしいことです。
解説もそうですが、作品の選択もよかったのですね。
いろいろ、考えるのが好きなので、こんなに、当たるとは思いませんでした。
「仕掛け」があれば、個人的にはうれしくなります。
中さんへのレス、ありがとうございました。
しかし、なぜ、姉妹編には、乱歩のルーブリックが採用されていないのか、いまだに不思議に思います。
>中さん、akawasさん
す、鋭い……鋭すぎます。ああ、いまだかつて発売日前に内容を見抜かれた探偵小説があったでしょうか。ポーがディケンズの『バーナビー・ラッジ』の真相を冒頭数ページで見抜いた以上ではありますまいか。
>桜さん
こちらもお気づきになりましたね。これは“本格推理”シリーズをリニューアルするに当たっての光文社側の思いつきで、僕は関与していないのですが。なお今回の『人それを情死と呼ぶ』『ペトロフ事件』は、早くも増刷がかかったようです。
>その桜さんに質問された中さんへ
光文社文庫『時間の檻』(昭和62年2月20日初版第1刷発行)は、創元推理文庫『五つの時計』(1999年2月26日初版)のベースとなった短編集(「薔薇荘殺人事件」「二ノ宮心中」「急行出雲」は不収録)で、創元版では各編の巻頭に掲載されているルーブリックを、「各編解説 江戸川乱歩」として巻末(宮本和男=北村薫氏の「文庫解説」の前)に一括掲載する形となっています。一方、姉妹編として出た『硝子の塔』(創元版『下り“はつかり”』のベースとなった本)にはルーブリックはありません。
あ。それとあのデータのUp-To-Dateをよろしくお願いいたします。
>オーナー様
昨夜、たまたま『鮎川哲也読本』が出たころの貴ページ過去ログに行き当たって、まさに隔世の感ありでした。
■日下三蔵様
どうもありがとうございます。著書目録をつくることになろうなどとは夢にも思っておりませんでしたので、乱歩の本を古書で買ったことは一度もなく、新刊だってじつにいい加減に購入しておりました。講談社の江戸川乱歩推理文庫が揃った時点で角川文庫の乱歩作品はすべて処分する、みたいなことばかりくりかえしていて、いまになって臍を噛んでいる次第です。ご多用中まことに恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
■須川毅様
機会がありましたらまた名張にもお立ち寄りください。ご所望とあらば日帰りコース、二泊三日コースなんてのも設定させていただきます。
■芦辺拓様
となると、菰田治郎右衛門はユートピア願望ではなくてレンズ嗜好症を体現した人物なのでしょうか。とお訊きしたいところなのですが、それでは興趣が殺がれます。拝読するのを心待ちにすることにいたします。
■桜様
横から割り込むようで申し訳ないのですが、光文社文庫に入っている鮎川哲也さんの作品集には、乱歩のルーブリックが収録された本があるのでしょうか。どこかでそんなことを読んだ記憶があり、あ、調べなあかんなと思いながら、いまだに果たせておりません。お知らせいただければ幸甚に存じます。
引き続いて、鮎川さんの、光文社文庫。あ 2−32、2−33、と二冊には、連番がうたれています。
32、33、ですから、これは鮎川哲也編の「本格推理」、「本格推理マガジン」や「新・本格推理01」からの番号です。
今度の、鮎川哲也コレクションがこれらに加わることになります。
ならべると、少し違和感があるのに気付きました。
鮎川哲也コレクションの二冊は、深い緑ながら、艶消し
その他のは、深い緑ながらも、艶出し
ということで、同じ深い緑ながら、一工夫がありました。
須川さん、『誰の屍体か』の2バージョン、刷などを確認したいですね。
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