自然観察ネタ集(植物)

 ここでは、自然観察の指導を行う時などにおいて、話題として使えそうな植物に関するネタを、種名順で紹介していきます。吾妻郡や群馬県でしか通用しない内容や、エッセイめいたものも含まれていますが、御了承ください。

ア 行

ナ 行

ラ 行

カ 行

ハ 行

ワ 行

サ 行

マ 行

 

タ 行

ヤ 行

 

  

 


ア行

アカザ(アカザ科)
 これはインドが原産といわれ、吾妻郡の一部では背丈よりも高くなるまで栽培し、杖の材料としています。また、道端などには帰化したものも見られます。
 これは、シロザの亜種で、若い葉が紅色の粉状毛に覆われていることから名付けられました。この鮮やかな葉の様子を初めて見る時は、よごれ(というよりも化粧?)かと思って、こすって確かめてしまいました。(「コアカザ」「シロザ」を参照)

アカシデ(カバノキ科)
 新芽が赤いため春先は木が赤く染まって見えることから、この名前がつきました。また、樹皮はつるつるで、縦に縞模様があります。これは、アカシデやイヌシデの特徴で、これをヒントに冬でも見つけることができます。
 幹の断面は真ん丸ではなくやや歪んでいますが、この歪みを生かして、そのまま床柱に使われたりします。(「イヌシデ」を参照)

アカツメクサ(マメ科)
 ムラサキツメクサの別名です。(「ムラサキツメクサ」を参照)

アカネ(アカネ科)
 茎は四角で、その角には細かな逆向きのトゲが並んでいて、それで他のものに引っ掛かって伸びていきます。葉は4枚輪生に見えますが、実際には2枚が葉、2枚は托葉です。太い根は、抜くとだんだんと橙黄色に色づいてきます。この根から染料が取れます。

アカミタンポポ(キク科)
 大正時代に欧州からやってきた帰化植物です。セイヨウタンポポとよく似ていますが、セイヨウタンポポの果実の色が灰褐色なのに対して、果実の色は暗赤色であるのが特徴です。
  1950年代には珍しかったようですが、今では多くなりました。でも、まだ吾妻郡ではセイヨウタンポポが多いようです。(「エゾタンポポ」「シロバナタンポポ」「セイヨウタンポポ」を参照)

アメリカアゼナ(ゴマノハグサ科)
 戦後、北アメリカから渡来した帰化植物です。田んぼのイネをそっとどけると、アゼナのかわりにこのアメリカアゼナが見られることがあります。
 区別点は、アメリカナズナの葉は鋸歯があることです。また、最近群馬県には同じ帰化植物のウキアゼナも侵入してきましたが、吾妻郡にまではまだ入ってきていません。

アメリカフウロ(フウロソウ科)
 昭和初期に北アメリカから来た帰化植物です。花や実はゲンノショウコに似ていますが、5〜7に深く掌状に切れ込んだ葉は独特の形をしています。群馬県では、まだ平野部を中心に見られるだけです。
 なお、この葉を取って指でつまんでヘリコプターの要領で回すと、くるくるとよく飛んでいきます。ちょっとした遊びにいいでしょう。

アレチギシギシ(タデ科)
 明治時代、ユーラシア大陸から帰化しました。他のギシギシの仲間に比べて細い感じで、果時の花被内片は幅が狭く、鋸歯はありません。
 ギシギシの仲間の帰化植物は、山地の方ではエゾノギシギシが多く、平野に下りるにつれてナガバギシギシ、アレチギシギシ、そして一部でヒョウタンギシギシが見られるようになります。(「ギシギシ」「ナガバギシギシ」「エゾノギシギシ」を参照)

アレチハナガサ(クマツヅラ科)
 戦後、南アメリカから帰化した植物ですが、吾妻郡ではまだあまり見かけません。
 花はごく小さいのですが、蜜の量は多いのか、よくチョウがこの花にとまっているのを見かけます。これだけ小さい花でチョウを呼び寄せるのですから、蜜の量のほかに、何か特別なサインがあるのでしょうか?

イタドリ(タデ科)
 咲いている花の色を見ると、白から濃い紅色まで株によってかなりの変異があり、まるで別種に見えることもあります。一応両性花ですが、中にはめしべのあまり発達していない花もあり、これは雄花扱いとなっています。
 葉の裏の脈上に太くて短い毛が生えている亜種を「ケイタドリ」と言います。イタドリは太平洋側に多く、ケイタドリは日本海側に多いのですが、吾妻郡はその中間にあたり、榛名山付近はほとんどがイタドリですが、その北にある中之条町ではケイタドリが見られるようになります。

イヌタデ(タデ科)
 「イヌ」がつく植物名はいろいろありますが、だいたいは「役立たず」の意味です。イヌタデの場合もそうで、辛くて薬味に使えるタデ(ヤナギタデ)とは違って、辛味のない役立たずのタデということからきた名前です。花の色や葉鞘に長い毛があるところなどはハナタデとよく似ていますが、穂に花が密についているところで区別できます。(「ハナタデ」を参照)

イモカタバミ(カタバミ科)
 南アメリカから戦後渡来した帰化植物です。よく似たムラサキカタバミとは違って鱗茎はなく、根が太くなっているだけです。また、この花は実ができるので、葯は黄色くて花粉をつけます。別名を「ハナカタバミ」といいます。
 イモカタバミもムラサキカタバミも体にシュウ酸を含んでいますので、葉を噛むと酸っぱいです。これは、虫に食べられるのを防ぐためと考えられます。(「ムラサキカタバミ」を参照)

イヌシデ(カバノキ科)
 樹皮がつるつるで、縦に縞模様があります。これは、アカシデやイヌシデに共通の特徴ですが、アカシデとイヌシデは、枝の先の方を見れば区別ができます。毛がはえていればイヌシデ、毛がなければアカシデです。また、イヌシデは幹がほぼ真ん丸で、アカシデはやや歪んでいるところも違います。(「アカシデ」を参照)

イヌホオズキ(ナス科)
 戦後、北アメリカより帰化した植物です。「イヌ」とは「役立たず」という意味ですが、茎や葉はホオズキに似ていても実は黒くて小さいことから、この名前がついたのでしょう。
 この仲間は、ケイヌホオズキ、アメリカイヌホオズキなどがありますが、野外で区別する必要はあまりないでしょう。

ウシハコベ(ナデシコ科)
 コハコベやミドリハコベに似ていますが、大型で、雌しべの先が5本に分かれています。植物の種子は、普通発芽する時期が決まっていますが、このウシハコベの種子は1年中発芽をします。(「オオアラセイトウ」を参照)

エイザンスミレ(スミレ科)
 このスミレの葉は細かく切れ込んだ独特のものですが、花が終わるころには大きく三つ程度にしか切れ込まない葉をつけます。花の終わり頃には、両方の葉を同時につけているものもあるので、探してみましょう。
 また、この花には香りがしますが、食べても独特の味がします。スミレの花の中では、この花の味が一番好きです。

エゾタンポポ(キク科)
 在来種のタンポポは、地域によってそこにある種類がほぼ決まっています。たとえば吾妻ではエゾタンポポが主に見られ、前橋市などに行くとカントウタンポポが多くなります。
 けれども、これら在来のタンポポも、セイヨウタンポポのために、すっかり数が減ってきてしまいました。(「アカミタンポポ」「シロバナタンポポ」「セイヨウタンポポ」を参照)

エゾノギシギシ(タデ科)
 ユーラシア大陸から来た帰化植物で、吾妻郡でギシギシといえば、ほとんどがこのエゾノギシギシです。果時に花被内片は幅広くなく、針状の鋸歯があります。(「ギシギシ」「ナガバギシギシ」「アレチバギシギシ」を参照)

エノキグサ(トウダイグサ科)
 ニシキソウやナツトウダイなどの他のトウダイグサ科の草とは雰囲気がだいぶ違い、クワクサなどに似ています。ただ、花の様子は特別で、長い穂についた小さな雄花と、その下の葉状の苞につつまれた雌花があります。

オオアラセイトウ(アブラナ科)
 ハナダイコン、ショッカッサイなどとも呼ばれます。江戸時代に中国から観賞用として持ち込まれたのがもとになっています。また、終戦後、大陸から帰還した人が持ち帰ったものも多いと言われています。(「ハナダイコン」を参照)

オオアレチノギク(キク科)
 ヒメムカシヨモギとよく似ていますが、日本にやって来たのはだいぶ遅く、1926年に東京で確認されました。
 ヒメムカシヨモギは明らかな白色の花びら(舌状花)がありますが、オオアレチノギクははっきりせず、総苞がより下膨れになっています。(「ヒメムカシヨモギタ」を参照)

オオイヌタデ(タデ科)
 荒地や河原などに見られる大きなタデで、背丈ほどになることもあります。このように大きくなるタデサナエタデがありますが、オオイヌタデの方が茎の節が大きく膨れていることで見分けがつきます。

オオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科)
 明治20年に東京で帰化していることが、牧野富太郎先生によって発見されました。そして今では、日本中に広がって早春を代表する花となりました。ある小学1年生の教科書に最初に載っていた花が、セイヨウタンポポやレンゲとこのオオイヌノフグリでした。「春」て思い浮かぶ花が帰化植物ばかりとなってしまったのは、とても寂しい気がします。
 花期を春としている図鑑が多いのですが、実際には冬のうちから土手で咲いています。こんなところは、もっと現実に即した図鑑をつくってほしいものです。
 なお、日本に昔からあったイヌノフグリの花は、オオイヌノフグリの花よりも一回り小さく、花の色はきれいな淡紅色です。でも、今ではこの吾妻郡でもめったに見られなくなってしまいました。

オオオナモミ(キク科)
 1929年に記録された、北アメリカからの帰化植物です。在来種のオナモミと比べると、果実のとげが長くがっちりしています。吾妻郡でも、今ではこのオオオナモミばかりで、オナモミはほとんど見られなくなってしまいました。非常に寂しいことです。

オオケタデ(タデ科)
 江戸時代に輸入され、今でも栽培されたり野生化しているタデの仲間です。背丈ほどの高さがあって、茎には長い毛が密生しています。また、この毛が少なくて、花の色が濃紅色のものを「ベニバナオオケタデ(オオベニタデ)」と呼びます。
 マムシにかまれた時の解毒作用があるといわれていますが、実際にはそのような効果はありません。

オオニシキソウ(トウダイグサ科)
 コニシキソウと同じく北アメリカからの帰化植物ですが、コニシキソウほど広まってはいません。群馬県では平野部にたまに見られますが、吾妻郡にはほとんど入ってきていません。
 日本に侵入した時期はコニシキソウとほぼ同じ明治36年ですが、これだけ違いが生じたのは、コニシキソウが畑雑草であるのに対して、オオニシキソウは踏み固められた地面や丈の低い草地で見られる草であるからかもしれません。(「ニシキソウ」「コニシキソウ」を参照)

オオブタクサ(キク科)
 有名な帰化植物ですが、最初の記録は1959年の静岡県と、侵入したのは比較的最近と言えます。
  実(正確には偽果)は大きいのですが、中には大きさの違う二つの種子が入っています。そして、大きい方の種子が発芽できなかった場合、小さい方の種子が発芽するようになっています。最近帰化したのにもかかわらず、あっという間に全国に広がったのは、このような工夫があることも大きいでしょう。(「ブタクサ」を参照)

オオマツヨイグサ(アカバナ科)
 北アメリカの植物がヨーロッパで園芸植物化され、それが明治初期に日本にやってきた帰化植物です。
 背丈よりも高いこの草が道に沿って生えているのを一昔前にはよく見ましたが、その後はあまり見なくなりました。でも、最近また少しずつ見かけるようになってきています。このように、帰化植物にも盛衰に波があるようです。(「メマツヨイグサ」「マツヨイグサ」「コマツヨイグサ」を参照)

オニノゲシ(キク科)
 明治期に欧州から帰化した草本です。
 これとよく似たノゲシとは、厳密には果実(そう果)の横じわの有無で見分けますが、もっと簡単な方法があります。それは、葉を握ることです。葉のとげが堅いため、にぎって痛かったら オニノゲシ。とげがあっても 堅くなく、あまり痛くなかったらノゲシです。この違いは、すでにロゼットの時からはっきりとわかります。(「ノゲシ」を参照)

オランダガラシ(キク科)
 クレソンとも呼ばれています。清流などに見られ食用にされることから、日本本来のものと思われがちですが、実は明治初期にヨーロッパから食用としてもたらされた帰化植物なのです。その後、たちまち日本全国に広がって今のような状態になりました。
 なお、水中に沈んでいる葉は、水上のものと比べるととても大きくなっています。ぜひ確かめてみましょう。

オランダミミナグサ(ナデシコ科)
 明治の末、ヨーロッパから来た帰化植物です。在来種のミナグサとの区別点は、図鑑では果柄の長さなどがあがっています。でも、茎の色が淡緑色である点が一目でわかる区別点と言えるでしょう。 今では、平野部はもとより、かなりの山間部までミミナグサと交替してしまいました。
 この草は、秋の終わりに芽が出ます。でも、あまり大きくならずに越冬して、春になってから一気に成長して花を咲かせます。このように、越年草の代表と言えるでしょう。(「ミミナグサ」を参照)

 

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カ行

カスマグサ(マメ科)
 カラスノエンドウとスズメノエンドウの中間、すなわち「カ」と「ス」の「間」で「カスマグサ」と名付けられました。あまりにも安直なネーミングと言えますが、憶えやすいことは確かです。でも、実際にはスズメノエンドウと大きさがあまり変わりません。だから、果実の中の種子が4個(スズメノエンドウは2個)であることで区別します。(「スズメノエンドウ」「カラスノエンドウ」を参照)

カタバミ(カタバミ科)
 葉を噛むとシュウ酸の酸っぱい味がします。これは、カタバミ科の共通した特徴です。また、葉の色は緑色から暗紅紫色まで、株によって変異がありますが、「アカカタバミ」「ウスアカカタバミ」と細かく言う場合もあります。長さ1cmほどの果実は立ち、熟すと依拠いよくはじけて中の種子を回りにはじき飛ばします。
 よく見ると、地面にはいつくばるように広がっているものだけでなく、根元から斜めに立ち上がっているものの2型を区別することもできます。これは生態形の違いで特に区別することはありませんが、私の家の庭では、数年で地面に広がる型から斜めに立ち上がる型への交代が見られました。、

カナムグラ(クワ科)
 とても堅い逆トゲが生えたつる性の草です。これがびっしりと覆ったやぶの中を進もうとすると、肌は痛いし服はビリビリとひっかかるし、ひどい目にあいます。 この草は雄花が咲く株と雌花が咲く株が別になっています。ちょうど満開の雄花がたくさんついた株をゆすると、花粉が煙のように舞い上がります。

カモガヤ(イネ科)
 ヨーロッパから西アジアにかけてが原産地ですが、北アメリカも帰化しています。別名のオーチャードグラスは、牧草の代表として有名です。日本には、北アメリカから牧草として明治の初めに輸入されました。今でも牧草として栽培されますが、野生化したものがあちこちに見られます。

カラスノエンドウ(マメ科)
 果実(さや)は黒く熟し、中に種子が10個ほど入っています。(「スズメノエンドウ」「カスマグサ」を参照)

ギシギシ(タデ科)
 ギシギシの仲間での在来種で、県の平野部ではまだ見られますが、吾妻郡ではもうほとんど見られません。果時の花被内片は幅広く、浅い鋸歯があります。(「ギシギシ」「ナガバギシギシ」「アレチバギシギシ」を参照)

ギンリョウソウ(イチヤクソウ科)
 純白なのは、腐生植物で葉緑素を一切持たないためです。ただ、さく葉標本にしようとすると、文字通り真っ黒に変わります。乾燥によってこれほど極端に色が変化するのは、このギンリョウソウだけです。ただ、電子レンジで急速に乾燥させると、白いままの標本をつくることができます。

クズ(マメ科)
 このつるは、右手を握った時の親指の方向(左上)に巻き付いて伸びていきます。そのため、「右巻き」と呼ばれています。普通、この回転方向は「左巻き」と言われていますが、植物の世界では逆になっています。フジはこの逆の「左巻き」なので、冬、葉がない時でもこの二つを見分けることができます。
 クズの花は穂の下の方から咲いていくのがよくわかります。また、いい匂いがして、食べたり吸ってみると甘い蜜の味がします。このクズやハリエンジュなどの、マメ科で大型の花をつけるものは、蜜の味を確かめられるものが多いようです。(「フジ」を参照)

クヌギ(ブナ科)
 樹皮は縦に深く裂けてごつごつしているのが特徴です。コナラの樹皮もこれとよく似ています。ただ、コナラの方は表面に平らな部分がありますが、クヌギにはそのような平らな部分がありません。(「コナラ」を参照」)

クレソン(アブラナ科)
 オランダガラシの別名(「オランダガラシ」を参照」)

クローバー(マメ科)
 シロツメクサの別名(「シロツメクサ」を参照」)

クロマツ(マツ科)
 クロマツの幹には大きなこぶが見られることがあります。これは、マツノコブ病菌による「菌えい」ですが、そこからしみ出てくる「松蜜」はなめると甘いのが印象的です。

クワクサ(クワ科)
 名前の通り、葉は桑に似ています。花弁がない雄花と雌花をつけますが、一つの株にそれぞれの花がかたまった小さな穂がつきます。
 この茎はとても水っぽく、茎を切ってその少し下を指でぎゅっと潰すと、切り口から水がピュッと飛び出します。

ケアリタソウ(アカザ科)
 大正時代に南アメリカから渡来したと考えられる帰化植物です。独特の臭気があって、触るとしばらく落ちません。ナギナタコウジュと並んで、身近な草ではっきりした匂いを持つものの代表と言えるでしょう。
 都市部の荒地ではかなり増えていますが、吾妻郡ではまだそれほど目立ちません。

コアカザ(アカザ科)
 これもアカザやシロザと同じく帰化植物で、ユーラシア大陸が原産地です。アカザやシロザの下の方の葉は三角状で幅広なのに対して、コアカザはあまり幅広になりません。(「アカザ」「シロザ」を参照」)

ゴウシュウアリタソウ(アカザ科)
 オーストラリア原産で戦後広がった帰化植物です。吾妻郡でも最近になって見られるようになりました。
 茎は地面をはうか斜上して背は低いので、上に他の植物がかぶさると生きていけません。ですから、丈の低い草がまばらにしか生えていない堅い地面の荒地に多いようです。

コナラ(ブナ科)
 樹皮は縦に深く裂けてごつごつしているのが特徴です。アベマキの樹皮もよく似ていますが、コルク層が発達しているので、なぐってもあまり痛くありません。
 秋から冬、葉が落ちたコナラの木をよく見ると、クリのいがようなものが枝についていることがあります。これは、「コナラメイガフシ」という「ゴール」(虫えい)で、ナライガタマバチというごく小さなハチの幼虫の存在によって形成されます。(「クヌギ」を参照)

コニシキソウ(トウダイグサ科)
 「小錦」草ではなく、小「錦草」です。明治28年に東京で見つかった、北アメリカ原産の帰化植物です。けれども今では、最も普通に見られる畑雑草の一つとなってしまいました。
 トウダイグサの仲間だけあって、茎を折ると白い液がにじみ出てきます。(「ニシキソウ」「オオニシキソウ」を参照)

コハコベ(ナデシコ科)
 今はごく普通に見られる草ですが、1922年に牧野富太郎先生によって確認された帰化植物です。最初の頃はそれほど多くなかったのですが、今ではミドリハコベよりも多く見られるようになってしまいました。(「ミドリハコベ」を参照)

コマツヨイグサ(アカバナ科)
 まだ吾妻郡には侵入していませんが、明治末に日本に渡来した帰化植物です。その波状に切れ込んだ独特の葉は、一度わかるとそれだけで見分けることができます。
 沿海に多い植物ですが、特に花が大きいものを「オオバナノコマツヨイグサ」と言います。 (「オオマツヨイグサ」「マツヨイグサ」「コマツヨイグサ」を参照)

コモチマンネングサ(ベンケイソウ科)
 畑の雑草などとしてよく見かけます。黄色い花をきちんと咲かせますが、種子はほとんどできません。その代わり、葉のわきにむかごができて、それが落ちて新しい株をつくります。そのため、根ごと抜いただけではなかなか絶やせません。また、このような増え方をすることから、そのあたりに生えている株のほとんどは、遺伝的に同一のクローンであると言えるでしょう。

 

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サ行

サクラの仲間(バラ科)
 サクラの仲間の樹皮は、横に裂けた「皮目」があるのが特徴です。これがわかっていると、冬の間でも、幹を頼りにサクラの仲間を見分けることができます。

サクラスミレ(スミレ科)
 このスミレの「サクラ」という名は、その花がスミレとしては大きく、また 桃色をしていることからつけられました。
 なお、このサクラスミレの中で葉脈に沿って赤い斑があるものを、「チシオスミレ」と言います。この斑があるかないかで、「サクラ」と「チシオ」というように、名前の持つ雰囲気ががらりと変わってしまうスミレです。

サボンソウ(ナデシコ科)
 薬用や園芸用として、明治の初めにヨーロッパから持ち込まれたが、今ではほとんど見られなくなりました。
 図鑑には山村などに残っているという記述があったが、吾妻郡も奥まったところで、数株がぽつんとかたまって咲いているのを見つけた時は、100年ほどの間、本当にこうやって残っていたのだろうかと、思わずくびをかしげてしまいました。

シナダレスズメガヤ(イネ科)
 戦後、砂防用に南フリカから輸入されました。英名の「ウィーピング・ラブグラス」も、なかなか味があっていいのですが、細長い葉が毛髪のように束になって垂れ下がる様子から名付けられた、「シナダレスズメガヤ」の名前も捨てがたいと思います。

ジュズダマ(イネ科)
 アジア原産で、古い時代に帰化したものと考えられていて、別名をトウムギと言います。
 ハトムギとそっくりですが、ハトムギは栽培種で逸出したものはありません。野外で見つけたら、ジュズダマと言いきってもいいでしょう。

ショカッサイ(アブラナ科)
 オオアラセイトウの別名です。(「オオアラセイトウ」を参照)

シロザ(アカザ科)
 ユーラシア大陸から来た史前帰化植物です。普段はそれほど目立たない雑草ですが、成長すると背丈ほどにもなり、ぎょっとさせられます。(「アカザ」「コアカザ」を参照)

シロツメクサ(マメ科)
 クローバーの名前の方が親しまれている、ヨーロッパや北アフリカ原産の帰化植物です。オランダからガラス製品を持ってくる時の詰め草として、江戸時代に日本にやって来ました。
 まれに、花の終わりでないのに赤みがかっているものもあります。これは「モモイロツメクサ」と呼ばれています。(「ムラサキツメクサ」「タチオランダゲンゲ」を参照)

シロノセンダングサ(キク科)
 既に江戸時代から日本に帰化していました。
 コセンダングサとは、白い花びら(舌状花)があることで区別できますが、その花びらの大きさは個体によってかなり差があります。前橋の方では、沖縄などでよく見られるタチアワユキセンダングサと思えるような立派な花びらをつけている個体も見られます。

シロバナタンポポ(キク科)
 これは在来のタンポポですが、おもに西日本に見られるものでした。でも最近は東日本に進出してきています。ちなみに吾妻郡では中之条バイパスまで来ていますが、そこから先、吾妻町や長野原町ではまだ見られません。いつごろこれらの町に侵入するか、気をつけていようと思います。
 総苞片がやや反り返っていますが、セイヨウタンポポのように根元から折れ曲がるようになってはいません。 (「アカミタンポポ」「エゾタンポポ」「セイヨウタンポポ」を参照)

スイバ(タデ科)
 この草は、雄花と雌花が別の株につきます。また、シュウ酸が含まれているために、茎を折ってかんでみると酸っぱいです。このことから、スイバという名前がついたのでしょう。
 この草は、酸性土壌を好みます。春、田のあぜにずらっと並んで咲くのが見られるのは、肥料のやりすぎで土壌が酸性化しているためだと思われます。(「ヒメスイバ」を参照)

スギナ(トクサ科)
 ツクシの先につく穂は胞子葉の集まりで、その内側には胞子嚢がたくさんついています。この胞子を煮出した汁は、害虫を駆除する自然農薬としても使えるそうです。
 また、このスギナは酸性土壌を好むことから、土壌の性質を知るのに役立ちます。田畑のあぜなどに多く見られるのは、肥料によって土壌が酸性化しているためでしょうか?

スズメノエンドウ(マメ科)
 カラスノエンドウよりも小さいので、スズメノエンドウと名付けられました。花も小さく、色も紅紫色に対して微紫色です。そして、果実の中に種子は2個しかありません。(「カラスノエンドウ」「カスマグサ」を参照)

スベリヒユ(スベリヒユ科)
 畑や花壇の雑草の代表です。黄色い花は晴れた午前中に開きますが、これは虫が来る時だけ受粉の態勢を取る工夫なのでしょう。また、果実は熟すとふたのような上半分が取れ、中の種子がこぼれ落ちます。だから、この草はていねいにむしっても、種子がこぼれてすぐに生えてきてしまいます。

セイタカアワダチソウ(キク科)
 戦後に北アメリカから帰化した植物で、荒野を埋め尽くす様子は壮観です。
 根から有毒物質を分泌することで他の植物との競争に打ち勝つのが特徴ですが、その有毒物質の濃度が高くなりすぎると、自分たちも生えられなくなってしまいます。そのため、繁殖の様子に波が見られます。吾妻町の原町バイパスでは、10年ほど前にたくさん見られましたが一旦は消え去り、再び3年ほど前から勢力を増してきています。これが再び衰退するのは何年後でしょうか。

セイヨウタンポポ(キク科)
 1904年に北海道で確認されてから、全国に広がって在来種と交代してしまいました。総苞片が基部からくるりと反転しているのが特徴です。(「アカミタンポポ」「エゾタンポポ」「シロバナタンポポ」を参照)

ソメイヨシノ(バラ科)
 ソメイヨシノには、枝が以上に密に茂り、花の時期に葉がでているものがあります。これは「天狗巣病」によるものですが、ほかのサクラの仲間にはあまり見られません。

 

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タ行

チシオスミレ(スミレ科)
 (「サクラスミレ」を参照)

タチオランダゲンゲ(マメ科)
 ヨーロッパや西アジア原産の帰化植物です。花の色は白色と淡い赤色がありますが、ちょっと見ると色のうすいムラサキツメクサに見えてしまいます。でも、ムラサキツメクサにはほとんどない花柄が、このタチオランダゲンゲにははっきりあることで区別できます。
 嬬恋村では牧草地の中でたまに見られます。これは、他の牧草の種の中に混じっていたものでしょう。一方、榛名山の北斜面に作られた車道にも見られますが、これは土留め用に吹きつけられた種子の中にこれが混じっていたのだと考えられます。

タネツケバナ(アブラナ科)
 掘り返す前の田などでよく見られます。図鑑には春の花として載っていることが多いのですが、実際には秋にも花を咲かせています。また、葉を噛むとちょっと辛味があることから、アブラナの仲間とわかります。

チチコグサモドキ(キク科)
 大正末期に熱帯アメリカからやってきた帰化植物です。今、日本の内陸の方に向かって勢力を広げている最中です。例えば、前橋あたりにはそこここに見られますが、吾妻では堅い土の場所に見られるようになったところです。

チドメグサ(セリ科)
 小さな葉が地面を覆うように広がるのは、セリ科の植物とは思えません。でも、葉を噛むとセリのような味がすることから、セリ科の植物だと納得できます。ノチドメやオオチドメなど、よく似た仲間があります。

ツメクサ(ナデシコ科)
 葉が鳥の足の爪に似ていることから、この名前がつきました。あまり目立たないのですが、花の柄やがくには腺毛があって粘ります。校庭などの踏みつけの多い場所でもよく生えていますが、踏みつけの程度によって大きさが違うようです。そのような点に気をつけて見てみるのもいいでしょう。

ツルマメ(マメ科)
 マメ科でつる性の草です。ヤブマメに比べて葉が細く、花の色も淡いです。また、これがダイズの原種と考えられています。(「ヤブマメ」を参照)

ドクダミ(ドクダミ科)
 薄暗い林床などで白い花をつけますが、この白い花弁に見えるのは、じつは総苞なのです。そして、その真ん中に立っているのが、花弁やがくさえもない小さな花が集まった穂なのです。虫の見える色は人間よりも紫外線が和に寄っています。でも、白い色は紫外線の補色なのでよく目立ちます。ドクダミは虫を呼ぶ旗印を、花弁でなく総苞にさせているのです。

 

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ナ行

ナガバギシギシ(タデ科)
 明治中期にはユーラシア大陸から帰化していた植物です。果時の花被内片は幅が広くて鋸歯はありません。この果時の花被内片がギシギシの仲間における区別のポイントとなっています。
 吾妻郡ではまだほとんど見られませんが、今後どうなっていくかに興味が持たれます。(「ギシギシ」「ナガバギシギシ」「エゾノギシギシ」を参照)

ナズナ(アブラナ科)
 ロゼット状の葉の中心から、春に茎が立って花を咲かせます。この茎にも葉はつきますが、中心はロゼット状の葉です。このように、花が咲いても葉がロゼット状のままなのは、タンポポやオニタビラコなど、あまりありません。また、花は下の方から咲いていきますので、気をつけて見てみましょう。
 この葉をちぎって噛んでみると、ピリッとした辛味があります。また、やや太くなっている白い根を掘りだして噛んでみても同様です。このことから、ダイコンも同じアブラナ科の植物だということが納得できます。

ナツズイセン(ヒガンバナ科)
 中国から渡来したものといわれます。
 夏に1本の花茎を立て、淡紅色の花を車状につけますが、葉は全く見られません。じつは、葉は秋遅くに出て春ガ終わると枯れてしまうので、花といっしょには見られないのです。また、これはヒガンバナ科の二つの種の交配によって生まれたものなので、これだけ目立つ花をつけても、種はできません。

ニオイタデ(タデ科)
 東アジア原産の帰化植物ですが、 吾妻郡では見られず、群馬県内では太田市などの「鶴の首」のあたりで見られます。
 茎に長毛や腺毛が密生して、触るとべたべたが移ります。さらに、独特の臭気があります。タデの仲間でこのようなものは他にはありませんので、区別に困ることはありません。

ニシキソウ(トウダイグサ科)
 帰化植物であるコニシキソウに対して、もともと日本にあったのがこのニシキソウです。コニシキソウと違い、葉に赤黒い班がないことからすぐに見分けられます。でも、このニシキソウもコニシキソウに押されてあまり見られなくなってしまいました。畑雑草とはいえ、寂しいものです。(「コニシキソウ」「オオニシキソウ」を参照)

ノゲシ(キク科)
 ノゲシは史前帰化植物と言われています。ノゲシの果実には縦のすじのほかに横じわがあり、オニノノゲシの果実は縦のすじしかありません。(「ノゲシ」を参照)

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ハ行

ハナカタバミ(カタバミ科)
 イモカタバミの別名です。(「イモカタバミ」を参照)

ハナダイコン(アブラナ科)
 オオアラセイトウの別名です。(「オオアラセイトウ」を参照)

ハナタデ(タデ科)
 イヌタデと似ていますが、花がもっとまばらに穂についています。極端にまばらについたものは、「ナガボノハナタデ」と言われています。また、花の時期もイヌタデほど長くなく、夏が終わるまでには見られなくなってしまいます。(「イヌタデ」を参照)

ハマダイコン(アブラナ科)
 栽培種である「ダイコン」が野生化したものです。けれども、根は細くて食用にはなりません。ダイコンはハツカダイコンから変わったもので、原産地はヨーロッパといわれています。
 海岸の砂地に生えるために群馬県では見られませんが、海岸に行った時などに見つけてみましょう。

ハルザキヤマガラシ(アブラナ科)
 ヨーロッパ原産の帰化植物で、吾妻郡内でも標高が高い西の方に多く見られます。多分、高地の気候がハルザキヤマガラシの成育に適しているために、他の帰化植物とは違って、吾妻郡でも奥の方に分布することになったのでしょう。

ハルジオン(キク科)
 大正年間に北アメリカから来て帰化したと思われる草本です。ハルジョオンとも呼ばれますが、正確にはハルジオンです。
 これとよく似た「ヒメジョオン」との区別点には、茎が中空、花の若い時に先がうなだれる、舌状花の色は淡紅色になることもある、などが挙げられます。 (「ヒメジョオン」を参照)

ヒナタノイノコズチ(ヒユ科)
 「ひっつき虫」の代表で、果実は2本のかぎで衣服にくっつきます。穂状に花をつけるものは、だいたいが穂の下の方から花が咲いていきます。このヒナタノイノコズチも花は目立ちませんが、ちゃんと下から咲いていきます。

ヒメオドリコソウ(シソ科)
 春の道端にごく普通に見かける草ですが、実はヨーロッパからの帰化植物で、明治初期にやってきました。 (「オドリコソウ」を参照)

ヒメジョオン(キク科)
 明治維新頃に北アメリカから渡来した帰化植物です。
 ハルジオンとよく似ていますが、区別点は色々ありますが、それはハルジオンを参照して下さい。ただ、遠くからでも簡単に区別する方法もあります。それは、花期の違いです。つまり、春に咲いていればハルジオン、 夏から秋に咲くのがこのヒメジョオンだということです。 (「ハルジオン」を参照)

ヒメスイバ(タデ科)
 ヨーロッパからの帰化植物です。スイバと同じように雌雄異株ですが、スイバよりずっと小柄で、生えているところも荒地や道路の周辺などの踏みつけの多い場所です。(「スイバ」を参照)

ヒメムカシヨモギ(キク科)
 明治の初めに渡来した帰化植物です。そのためか、ゴイッシングサ、メイジソウ、ヨガワリグサなどの方言があります。また、テツドウグサの名は、文明開化で鉄道が引かれたのと共に広がったことからついた方言でしょう。
(「オオアレチノギク」を参照)

ヒレアザミ(キク科)
 江戸時代にユーラシア大陸から来た帰化植物です。刺が並んだはっきりした翼が茎からはりだしており、車で運転していても、その様子からヒレアザミとわかるほどです。花の色は紅紫色が普通ですが、時々真っ白のものもあり、それを見かけた時には、運転中でも思わず振り返りそうになってしまいます。

ビロードモウズイカ(ゴマノハグサ科)
 明治初期にヨーロッパから来て栽培されたのが始まりです。
 高さが1〜2mにもなる草本ですが、全身に灰白色の綿毛が密生しているので、小さい時にもすぐにわかります。

フジ(マメ科)
 このつるは、それは左手を握った時の親指の方向(右上)に巻き付いて伸びていきます。そのため、「左巻き」と呼ばれています。普通、この回転方向は「右巻き」と言われていますが、植物の世界では逆になっているのです。(「クズ」を参照)

ブタクサ(キク科)
 北アメリカ原産の帰化植物です。
  日本で最初に確認されたのは明治13年で、オオブタクサよりはだいふ早く帰化しています。(「オオブタクサ」を参照)

ブタナ(キク科)
 1933年に札幌で見つかった、欧州原産の帰化植物です。
 タンポポとの一番の区別点は、花茎が途中で分枝している点です。キャンプ場などの山のなかでも人手が入った場所でよく見かけます。特に、嬬恋村の万座温泉へ向かう有料道路の両わきは、このブタナが見事です。ただ、見事でも率直には喜べませんね。

フラサバソウ(ゴマノハグサ科)
 日本の植物を研究した、フランシェ氏とサバチエ氏の名前を取って名付けられました。ただ、フランシェとサバチエでフラサバとは、ちょっと安直過ぎるような気もします。
 帰化植物は侵入したら必ずそこで増えるものではありません。例えば、吾妻町のある場所でフラサバソウを見つけたので継続して観察していましたが、結局それは増えずに、数年後に姿を消してしまいました。このような見逃しやすい「一時帰化」も注意していきたいものです。

 

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マ行

マツヨイグサ(アカバナ科)
 メマツヨイグサが帰化植物だからこちらは在来種だろうと思われがちですが、これも帰化植物です。それも、江戸時代末期に南アメリカからやってきてという、この仲間では最も古参の種です。 けれども、最近は急に少なくなり、車を運転していてしぼんで黄赤色になったこの花を見かけることは まれになりました。
 なお、この仲間の花粉は「粘糸」を持ち、蜜を吸いに訪れた昆虫の体にくっつきやすいようになっています。また、咲くのが夜ということから、この花粉を媒介する昆虫はガの仲間だと言うことができます。 (「オオマツヨイグサ」「メマツヨイグサ」「コマツヨイグサ」を参照)

マメグンバイナズナ(アブラナ科)
 明治末期にアメリカから渡来した帰化植物です。グンバイナズナより一回り小さいことから、この名前がつきました。
 この草は、茎に沿って密に花をつけるので、下の方から花が咲いて果実になっていく様子がよくわかります。 (「グンバイナズナ」を参照)

ミドリハコベ(ナデシコ科)
 世界的に分布しており、史前帰化植物と考えられています。でも今では、新帰化植物であるコハコベに押され気味になっています。
 名前の通り、茎が緑色の点でコハコベと区別できます。また、普段はなよなよした「ハコベ」らしい草なのですが、栄養状態のよい場所では、ぎょっとするほど大型になっておりいるものを見つけたりします。(「コハコベ」を参照)

ミミナグサ(ナデシコ科)
 今では、帰化植物のオランダミミナグサに押されて、平野部ではほとんど見られなくなってしまいました。
 ミミナグサは、毛が密生した茎が暗紫色なのでオランダミミナグサと区別できます。またこの名前は、毛が密生した葉をネズミの耳と見立てていることからついたといわれています。
 また、果実はがくが筒状にとじただけのように見えますが、熟すとその先が少し開きます。そして、風に吹かれるなどしてその口が下を向いた時に、種子がこぼれ落ちてきます。(「オランダミミナグサ」を参照)

ムシトリナデシコ(ナデシコ科)
 江戸時代末期にヨーロッパから渡ってきた帰化植物です。
 茎にはねばつく部分がありますが、「虫を捕る」のではなく、蜜を盗みに来るアリなどを防ぐ働きがあります。

ムラサキカタバミ(カタバミ科)
 南アメリカから江戸時代末期に渡来した帰化植物で、非常にやっかいな雑草です。それは、多数の小さな鱗茎(鱗片状の地下茎)で増えるためです。そのため、引っこ抜いても鱗茎がはがれて地下に残ってしまいますし、これが農薬でもなかなか絶やせません。
 なお、ムラサキカタバミはこの鱗茎だけで増えるので、実をつけません。だから、葯は花粉を作らずに白い色をしています。でも、それならば、なぜわざわざ花をつける必要があるのでしょうか?(「イモカタバミ」を参照)

ムラサキウマゴヤシ(マメ科)
 南地中海原産で、明治初めに帰化したものです。他のウマゴヤシ属と違って花が淡紫色をしていることから、この名前がつきました。
 なお、飼料として有名なアルファルファとは、このムラサキウマゴヤシのことです。

ムラサキツメクサ(マメ科)
 アカツメクサとも呼ばれるこの草も、ヨーロッパから来た帰化植物です。明治の初めに、レッドクローバという牧草として持ってこられたのが野生化しました。まれに白い花をつけるものもあれますが、これは「セッカツメクサ」という名前がついています。
 このような植物は、どうしても花の時だけ注目してしまいますが、果実になったものも探してみましょう。黒く湾曲した細い鞘がたくさんついたその形も、なかなか興味深いものです。(「シロツメクサ」「タチオランダゲンゲ」を参照)

メキシコマンネングサ(ベンケイソウ科)
 石垣や舗装された道のはしなどに見られるマンネングサの仲間です。

メマツヨイグサ(アカバナ科)
 明治後期に北アメリカから来た帰化植物です。一時は「アレチマツヨイグサ」と言われていましたが、今は「メマツヨイグサ」と呼ばれています。そして、「アレチマツヨイグサ」は花弁と花弁の間に隙間がある一形とされています。現在、帰化植物であるマツヨイグサの仲間では、もっともポピュラーなものとなっています。
 二年草であるため、冬でもロゼットの形で見ることができます。だから、成長した時の茎の下の方の葉の形を覚えていれば、ロゼットの時でも見分けることができます。挑戦してみましょう。 (「オオマツヨイグサ」「マツヨイグサ」「コマツヨイグサ」を参照)

 

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ヤ行

ヤエムグラ(アカネ科)
 茎が四角で、その角に逆向きの刺が密生しているのは、ものに引っ掛かって伸びていきやすいようにするためです。葉のふちも刺が密生して、ものにくっつきやすくなっているだけでなく、果実までカギ状の毛が密生している徹底さです。なお、葉は6〜8枚輪生ですが、正確にはこの中の2枚だけが葉であとは托葉です。

ヤハズソウ(マメ科)
 葉の先をつまんで引っ張ると、V字状にちぎれます。このことから、「矢筈草」の名前がつきました。また、マメ科の果実は、普通は熟すと割れて中の種子を出しますが、このヤハズソウの果実は熟しても割れません。

ヤブマメ(マメ科)
 ツルマメとよく似たつる性の草です。茎につく花だけでなく、地中に閉鎖花をつけて果実もできます。(「ツルマメ」を参照)

ヤマトアオダモ(モクセイ科)
 この「落枝痕」(枝が落ちた後にできる模様)は独特で、富士山のような形をしています。

ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)
 北アメリカ原産の帰化植物で、明治時代に渡来しました。 この仲間には、同じく帰化植物のヤマゴボウと在来種のマルミノヤマゴボウがありますが、吾妻郡ではヨウシュヤマゴボウしか見られません。
 モリアザミの根をヤマゴボウの名で食べるために、このヨウシュヤマゴボウも食用と間違われることがありますが、毒草ですので気をつけましょう。ただ、ワインのロゼを作る方法は色々あるそうですが、中には白ワインにこれで色をつける方法もあるそうです。少量なら、体に害はないのでしょう。 (「ヤマゴボウ」「モリアザミ」を参照)

 

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ラ 行

 

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ワ行

ワルナスビ(ナス科)
 吾妻郡ではほとんど見ませんが、前橋市などでは畑の雑草として見られます。昭和初期に北アメリカから北帰化植物ですが、その刺は鋭くて素手ではちょっと持てません。標本を作ろうとしたら新聞紙から刺がずぼずぼと飛び出し、ひどい目にあいました。

 

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